ネパールのカトマンドゥからデリーへ向かう為、私は早朝にエアポートまで友人に送ってもらったのですが、この3日程続いている喘息の発作の為、朝まで一睡も出来なかったのと咳による疲労でフラフラでした。
友人も心配して「もう数日こっちに滞在したら?」と言ってくれますが、仕入れの予定優先の為、そうもいきません。それに観光シーズン末期の為に一度キャンセルしたら次の便がすぐ取れるとも思えないので尚更です。
さらに、喘息持ちには一番辛い朝夕の温度差が激しい時期のカトマンドゥより、暑いデリーの方が喘息にはまだマシと思える季節だったのです。(因みにデリーも1〜2月頃に行くと発作がよく出ます。)
スーツケースを預けてチェックイン完了、出国手続きも終えて搭乗ゲートの真ん前のイスに座った途端、ホッとしたせいか急に眠くなってきました。
一気にそのまま深い眠りに入ってしまい、どれだけ時間が経ったのか、ふと目覚めて周りの人達を見ると、デリー行きを待っていた人達と顔ぶれが変わっています。「え?」半分寝ぼけながらも、嫌な予感がしてきました。
まさか・・・・・ ようやくしっかり目が覚めてきます。
慌てて搭乗ゲート付近の係員に尋ねると、彼は空を指差して、「もう飛んでいるよ。」 乗り損なった! しかも、私を残してスーツケースだけはデリーに向けて飛んでいる・・・・これは最悪や!どうしよう?
出国ゲートに戻り、事情を話すと出国取り消しになるとの事です。その他、出国税の戻り等、言われた通りの手続きをして一路、航空会社のカウンターに向かいます。
順番カードを発行している場所でない限り、インドやネパールではカウンターで自分の話を聞いてもらう事が大変で、並ぶ事を嫌がる人々が係員に向かって口々に自己主張を繰り広げている修羅場に私も身を投じます。
やっと係員が私の話を聞いてくれだしたと思う間もなく、私の横にいるインド人らしき男が、私を肘で押しながら被せる様にこっちを先にと大声でわめいています。
そんな戦いの中、やっと手にしたのは次のデリー行きのキャンセル待ち番号ですが2ケタの番号の為、これは絶対乗れそうにありません。
寝てしまった自分が一番悪いのは解っていますが、後の仕入れの予定やスーツケースの事を考えると諦め切れずに懸命に食い下がります。何度も事情を訴えても大混雑の中、航空会社の係員はもはや私の話を聞いてくれません。
それでも食い下がって喘息で咳き込みながら交渉していると、カウンターの後ろの方にいた係員が私に気付き、どうしたのかと尋ねてきました。
「さっきの便に乗り遅れたのですか?」
「はい、出国までしたのですが、寝てしまって乗れませんでした。」
これまでのいきさつをゼーゼーいいながらも慌てて喋ります。
「喘息の発作が出ているのですか。それは大変ですね。ところで荷物は?」
「スーツケースはさっきの便に載ってるんです。インドに向かっています。」
「わかりました。とにかく私についてきてください。」
言われるまま、彼についていくと航空会社オフィスのマネージャー室に入りました。なんと彼はマネージャーだったのです。
幸運な事に結局、午後便でデリーに行くことが出来、スーツケースもデリー空港で無事に見つける事が出来ました。
この時のパスポートのVISA欄には、1回のネパール入国で2回の出国シールが付いた珍しいものが残っています。あ、2個の出国シールのうち1個は、勿論CANCELのスタンプ付きですが。
今でも、この時のVISA欄を見ると、あの時のマネージャーの親切な応対、私の体調を気遣ってソファーで横になるのを勧めて下さった事などを思い出すと共に、いくら喘息とはいえ、寝てしまった自分の間抜けさも思い出して赤面してしまいます。
このように皆様に助けて頂いて不肖私、恥ずかしながら仕入れをしております。
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